俺達はかわいい!(自己暗示)

(マゴ+リン+ヨリ+ダビデ) 「やっぱプリティーでしょ」 「お前それ、単に色で決めてるだろ」  夜のバンカラ街。煌めく装飾にカラフルな照明が寂れた風景に色を輝かせ、大きなお神輿が巡回するように宙を浮く派手なお祭り具合を初めて見た時は少々脳が追いつかなかったものだ。それでもようやく回数を重ねたおかげで随分と慣れては来たものの、ハイカラシティのフェス風景とはまた一風変わったその景色に今でも戸惑わされる時がある。  本日はフェス開催一日目。投票はまだしていない。何故なら当初の予定では参加を考えておらず、つい三十分前、経営している銭湯の看板娘を担っているリンから一緒に参加しようと誘われたものだから、仕方ないかと重い腰を上げてはブキを担いで街の中心までおじさん二人が出向いたわけである。 「リンちゃんの色だし、プリティーだし。他の陣営は考えられないよ」 「こっちのパワフルだって俺っぽいだろ、色違うけど」 「だったらこっちのビューティフルはちょっとマゴにいっぽいかも!」 「え〜、みんな陣営バラバラで参加するの俺やだよ」  どうせ参加するならばチームを組んでバトルをしたいだろう、と考えていたのはどうやら自分だけだったようで、今にも他の二人は各自好きな陣営に投票をしそうな勢いで真剣に悩んでいるものだから困りものだ。どうにかして意見を纏められないだろうかと考えていると、フェス会場には滅多に現れないボーイとふと目が合ったのでそっと手を振ってみる。すぐに気付いた彼は、嬉しそうに早足で駆け寄ってきてくれた。 「やあ、マゴさん。それと二人も」 「こんばんは。珍しいですね、ダビデさんが参加してるなんて」 「まあねえ。普段だってたまに顔出してるんだよ、ごく稀にかわいい子との出会いがあるからさあ」 「出た、相変わらずの出会い厨バカ」  呆れた様子で溜息を吐くヨリを他所に、どう見ても着慣れていないフェスT姿のダビデを見てみると、どうやら既にプリティー陣営への投票が済んでいるらしく、ダビちんかわいいとリンに褒められては至極ご機嫌の良さそうにへらへらと笑顔を浮かべている。 「なー、せっかくだし四人でナワバリ行こうぜ。プリティーな俺達なら百倍来ても勝てるって」 「ってことは、やっぱりプリティーにする?」 「結局そこに落ち着くのかよ……」 「じゃあ初戦で一番やられた数多かったひとがご飯奢りね」 「うわっ、マジか! こりゃあサボってる時間ないな」 「あはは。ガールちゃんのお尻追っかけてる暇なくなっちゃいましたね、ダビデさん」  あからさまにプリティーTシャツを着たくなさそうなヨリ、奢られる気満々でいるリン、自分から誘ったくせにがっくりと肩を落としているダビデを眺めながら、久しぶりのフェスに何処か心を踊らせている自分が確かにいて、たまにはこんな日もあってもいいかもなあと思いつつ、夜空に美しく咲いている向日葵のような花火を見上げては一人くすりと口角を上げた。

(2025.09.24)

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