当たり前の話

(ヨリ+モブ(ヨリ×マゴ)) 友人に「マゴのどこを好きになったのか」と問われて、「全部」とさらりと答えてしまうヨリ https://odaibako.net/gacha/963 「ヨリさんって、恋人いるんでしょ?」  二時間分のバンカラマッチを終え、ロッカールームで一休みをしていたしている最中、何度かマッチングをしていたガールのフレンドにそう話しかけられ、反射的にまあなと頷くと間隔を開けて隣に腰を下ろした彼女は興味津々といったようにこちらの顔を覗き込むとにこりと笑った。 「なんか意外。縛られるのとか苦手そうなのに」 「うっせーな。そんなの俺の勝手だろ」 「そりゃそうだけど……堅物っぽいヨリさんがどんな子に落とされたのか気になってさ」 「落とされた……ねえ」  半分以上なくなりつつあるミネラルウォーターの残りを一気に流し込み、溢れそうになっているゴミ箱の中へと投げ入れる。以前からそういった色恋沙汰の話に興味を示すやつだと思ってはいたが、本人の知らぬ間に恋人がいるという情報を入手しているのは大したものである。マゴとは二人でバンカラ街まで買い物や食事に出ることもあるけれど、おそらく恋人同士という風には見られたことはないと思う。それは何故かというと、マゴが恥ずかしいからという理由で精々友人か知人同士のやりとりやスキンシップしか外ではしたことがないからだ。自分としては手を繋いだり、肩を寄せ合ったりしたいものだけれど、やろうとするとどうにも照れ臭がって頬を膨らませるものだから成功した試しはない。 「ほら。恋人の好きなとことか教えてよ〜、ヨリさんの好みとか知りたーい」 「そら全部だよ、全部」 「それじゃ分かんないじゃん」 「俺はあいつの全部が好きだよ。嫌いなとこなんかねえから」  どうも疑いの目で見つめてくるものだから、真剣な表情で目線を合わせれば案外すぐに納得したようで、そうかあと一言零してはどこか残念そうに天井を見上げていた。 「そんじゃあ敵わないなあ」 「どういう意味だよそれ」 「なんでもなーい。あたし、もう帰るわ。またマッチングよろしくね〜」 「あ? おう、分かった。またな」  聞いてきたくせに答えたら答えたで溜息を吐くなんて相変わらず失礼なやつ、と思いつつも、全部だなんて答えになっているのかなっていないのか、よく分からない返答をした自分が悪かったのだろうかと思い返し、まあお互い様ということでいいかと自己完結したあと、同じ答え方をマゴにもしたら怒られそうだなと気付いて誰もいないロッカールームで一人苦笑を零した。

(2025.08.15)

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