大事な品の手入れをする話
(ヨリ×マゴ) プレゼントなんて貰ったのはいつが最後だっただろう。大切なものを失ったことは何度もあったけれど、誰かに何かをもらったのは指で数えるほどしか経験がない。 「そんな大事なもん、そこに付けといていいのかよ」 「うん、いいの。どっちも宝物だから」 数年前、バレンタインのお返しだと言われて彼から受け取った琥珀色のブレスレットに今はかつて妻だった亡き幼馴染とお揃いの結婚指輪も通しており、風呂に入っている時以外はアンクレットとして足首に着けている。バトル中に失くしても知らないぞとよく脅されるけれど、そこは自分でも何故だが分からないくらいに絶対失くさないという謎の自信があり、彼の言葉も気にせず着けっぱなしにしていた。 「なんか、パワーもらってるような気がして元気が出るというか」 「まあ、俺も幼女にもらったやつ着けてると、なんかやる気でるっつーか……そういうのはあっけどさ」 同じ琥珀色の石が付いたブレスレットを着けるヨリも、どこか満更ではない様子でそんな話をするものだから思わず笑みが溢れてしまった。 この琥珀色はかつて妻であった幼馴染、シノブのインク色によく似ていた。だいぶあとから気付いたことだったけれど、彼女と店の看板娘であるリンはそのインク色や顔つきもよく似ている。本当に生まれ変わりなのではないかと思ってしまうほどには共通点の多い二人だった。そんなパワフルな彼女らの色が含んだアクセサリーを着けてバトルを挑んだ日には、ぐいぐいと背中を押してくれているような気がして不思議と自信が湧いてくるのだ。 「……きっと俺達のこと、見守っててくれてるってことだよね」 「さあな。俺は恨まれてっかも知れねえけど」 「あはは、シノブはそこまでねちねちしてないさ。そんなのお前が一番分かってるくせに」 それに、あの日確かに彼女の言葉を聞いた。だからこそ、これからも二人で手を取り前へ進まなければならない。子供の頃から助けてもらってばかりだったけれど、きっと今なら彼の力になれるはずだから。 磨いたアンクレットがきらりと光り輝いて、再び左の足首に着けると小さな指輪が応えるように音を立ててちゃりんと揺れる。すると、どこからか名前を呼ばれた気がしてそっと目を細めては、遠い昔に見た笑顔がふと頭の中に浮かんだ。(2025.07.05)
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