違反者講習の話
(ヨリ×マゴ) 「せーの……ばぁっ!」 「どわぁあ!」 ハイカラスクエアの広場がすっかり怪しげな色と装飾に塗れ始めた頃、特にそういったイベントごとには興味の沸かない自身は如何にも楽しげに出かけた二人を他所に、これみよがしにと一人居間でゆっくりと過ごしていた最中。気付かない間に昼寝をしてしまったらしく、すっかり外は日が暮れてそろそろ開店準備をしなければならない時間になっていた時、いつの間にか帰ってきていた看板娘と幼馴染の見慣れぬ衣装と突然耳元に落ちてきた可愛らしい脅かし声に思わずこちらも負けじと変な声を上げてしまった。 「やったね、リンちゃん。大成功って感じ」 「ふふ、んふふっ。トリックオアトリートしてやったー!」 「どこがだよ! せめて選ばせろ!」 どうやらフェスで盛り上がりをみせているハイカラスクエアの広場で誰でも無料で参加できるコスプレイベントが開催されていたらしく、妙にノリのいい二人は勿論真っ先に申し出たようで、そのままギアとして使用できる各アイテムも持ち帰って構わないという大サービスぶりに機嫌を良くしたのか、意気揚々と店へと帰ってきては留守番をしていた側としてはついていけないテンションの高さにがっくりと肩を落とした。 「明日はみんなでバトル行こうね、マゴにい!」 「うん。後でまた連絡するから、ちゃんと準備しておくんだよ」 「はーい!」 看板娘を暗くなる前に家へ帰るよう促し、未だ足取りの軽い彼女の背中を見送った後、今更になって照れ臭そうに年甲斐もなくはしゃいでしまったと仄かに頬を染めながら、どうやら店を開ける前に着替えるつもりなのか早足で奥の寝室へと逃げるように駆け込んだ幼馴染を無意識にそそくさと追いかけてゆく。 「あっ、そうだヨリ。悪いけど先にお湯溜めといてくれない、か……な!?」 畳の上にころりと転がった弁髪付きの帽子、そのまま布団へと倒れるように沈んだ体と、それを覆うように跨りながら自身の影に隠れた彼のきょとんとした表情ににやりと口角を上げた。 「ちゃんと悪戯する前に聞くもん聞かねぇとルール違反だよなぁ?」 「あっ、う……で、でも、ほら……冗談! 冗談のうちの一つだし」 「んなの関係あるか。罰ゲームとして、今度は俺がお前に悪戯する番な」 「へっ!? ちょ、待っ……よ、ヨリ……ぁ、んうっ」 幼馴染らしからぬ可愛らしいクンフーパンジャージ(どうやら看板娘のセレクトらしい)のファスナーをじりじりと下げ、中から露わになった既にぷっくりと浮いた胸元を撫で上げ、一瞬ぶるりと震えた体を他所に、頬に染められた目元のペイントの上からそっと口付けたのだった。(2018.10.08)
home