たかられる話

(おにいさん+焼きイカちゃん) 「アイスの兄ちゃんめーっけた」 「げっ、また見つかってしまった……」  こんな会話を交わしたのも何度目だろう。広場の隅でひとり缶ジュースを飲んでいると、見慣れた年下のガールがちょこんと目の前に立っては此方を見上げていた。ちなみにこれは今回が初めてではない。実はというと、週に何度か定期的なペースでこの偶然はいつも起こってしまっていたのだった。  事遡るは一ヶ月程前。いつものメンバーは各々用事があり、仕方なしに一人ナワバリバトルに参加していた時、たまたま同じチームになったのがこんがり肌でボンボンニットを被った彼女だった。ノヴァブラスターを掲げながら、レッツゴーと高らかにリスポーン地から颯爽と駆け出した後ろ姿を見て、面白いくらいにチームメイトの士気が高まるその時の様子には心底驚いたものだ(単純にみんなボーイだったからかも知れないけど)。そして、バトルも無事勝利を手にし、わっしょいわっしょいと全員で喜んでいた矢先に自分に向かって発せられた、アイスおごって、が初めて彼女にアイスをたかられた記念すべき瞬間だった。 (驚くよな、さすがに)  今まで生きてきた中で何の前触れもなくアイスを要求されたのは初めてだったので、つい、何も考えないままに頷き了承をしてしまった。まさかそれが今の今まで継続されてしまうとは露知らず。それからというものの会う度会う度、彼女にアイスを奢る事が恒例となってしまった。 「今日はねアタシ、ダブルチョコミントがいいな!」 「あのなぁ、誰も奢るとは言ってないぞ」 「えー、奢ってくれないんか~?」 「……はぁ。分かった、分かったよ。ただし、ダブルは禁止!」 「イエーイ、やったー!」  こんなところをうちのチビッコ二人に見られてしまってはたまったものではない。さっさと奢るだけ奢って満足してもらおう。そう思い、薄い財布からなけなしのアイス代の小銭を拾っては、差し出された彼女の手のひらにちゃりんと零したのだった。

(2015.12.11)

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